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学長が語る 障がい児保育

学長が語る 障がい児保育

第6回

子どもって、なんて寛容なんだろう。

集団保育の場で、子どもたちの寛容さに感銘を受けることがたびたびあります。
4歳児クラスがホールでリズムをしていました。のびのびと動けるように、男女の2グループに分かれて、入れ替わりで活動していました。そんな中、少し障がいのあるQ君は、男子にもかかわらず、女子グループのときも一緒に入って楽しそうに動いています。そんなQ君を「だめだよ」と咎め立てする子は、一人もいません。みんな、Q君は、そういう子で、それでいいのだと思っているのです。
5歳児クラスに、少し重い障がいのあるP君がいました。P君は、他の子どもたちの遊びの中に入ろうとして、結果的に遊びを壊してしまうことがあります。そんなとき、まわりの子どもたちは、P君を怒ったりしません。何事もなかったかのように、遊びを復旧するだけです。みんな、P君はそういう子で、それでいいのだと思っているのです。
子どもたちは、なぜ、こんなにも優しく寛容なのでしょうか?
私は、本来的に「子どもの心」とはそういうものなのだろうと思うようになりました。「大人」になると、だんだん世知辛くシビアになって、心が狭くなってしまうのだろうと思います。

それと同時に、保育者の役割も大変大きいと思います。保育者が、障がいのある子どもの、まわりとは違う行動を受容し、寛容な態度で関わるとき、まわりの子ども達も自然とそれに倣います。そして、その寛容さが、全ての子ども同士の間に伝わって、素晴らしい子ども集団ができあがっていきます。
逆に、保育者が、障がいのある子どもの行動に不寛容さを示すとき、子ども達もそれに倣い、「排除する心」が生まれてきます。それがいじめに繋がっていきます。
統合保育が、人間の多様性(いろいろな人がいること)への寛容さを育てる、素晴らしい場であることを、保育者は、もっともっと意識してもよいのではないかと思います。